近事呆然☆2023年

2023年12月3日(日)快晴 

 大田美和さんの待ち望まれていた第5歌集が、11月下旬に刊行された。第四歌集の

『葡萄の香り、噴水の匂い』を2010年に発行してから、なんと、13年も経っているとは、あらためて驚くばかりだが、このあいだに、それまでの既刊全歌集、詩、エッセイを収録した『大田美和の本』を2014年に出して、2020年にはエッセイ集『世界の果てまでも』を、さらに昨年『大田美和詩集二〇〇四ー二〇二一』を出しているので、活躍ぶりは変わらずに見届けてきているのだが、やはり、歌人の新しい歌集というのは、また特別の感じがする。

 このたびの歌集のカバーには、1996年刊行の第2歌集『水の乳房』のカバーを飾ってくださった写真家石山貴美子さんの作品を久方ぶりにお借りした。さまざまな思いがあっての、歌集でのカバー装丁に「写真」の採用となった。

 これまで、鎌田俊彦著『鎌田俊彦氏の生活と意見』に荒木経惟さん、佐伯裕子著『影たちの住む国』に東松照明さん、和田大象歌集『くらはんか』に今道子さんと、たくさんの本の装丁を一冊も装丁家任せにしないで考えてきた中でも、カバーを写真で飾るのは、なかなかむずかしいことだったが、今回は『水の乳房』以来、27年もの歳月ののちであり、大田さんの来年刊行予定の第6歌集のカバーでもお願いすることになっているので、喜びが大きい。

 装丁への写真の採用なども、いまは隆盛なさまを見せている歌集関係の書籍の装丁だが、1995年当時、旧態依然の日本文学の範疇での様相だったところへ、北冬舎が参入してより、現代絵画やイラストやグラデーション仕上げであしらうなど、新しい感受性を追求して新展開させたたうちの、ひとつであった。

 一昨年亡くなられた、一時代を築いた菊地信義との若い時代からのご縁もあり、その後、大橋泉之さんの別名・大原信泉さんと、いっそう充実して、装丁への思いを実現してきた過程での、このたびの石山貴美子さんの写真でのカバーで、こんなに嬉しいことはない。

 

 内容紹介をする前に、カバー装丁のほうに案内が行ってしまったが、「帯文」をここに記させていただく。

 

             抗いと希いの歌

 

 いったい、〈このここ〉とは、どのような時間と場所なのだろうか。いま、わたし 

 たちは/

 音を立てて、頽れ、落ちゆく世界の中で、どのように生きてあればいいのだろうか。

 『大田美和詩集二〇〇四ー二〇二一』をつなぐ2009-16年の作品を収める歌集。

 

  というものである。どうぞ、よろしくお願いいたします。  

2023年7月3日(月)曇/晴 

 6月15日には出来上がっていたのだが、あれこれあって、ようやく、今日、新刊の

長崎浩著『人生は片々たる歌の場所』のご案内ができた。

 ご紹介したいことはたくさんあるが、今日のところは、「ホームⅠ」への画像紹介のみで、恐縮です。 

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